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ニットの話

ニットは、一本の糸からさまざまなモノを生み出す不思議な技術。

古くから世界中に伝わり、愛されてきた素敵な文化です。

ニットでできたモノには、やさしさやあたたかさ、愛情やこだわりが宿ります。

ニット青木では、そんなニットのある生活を大切にしたいと考えています。

お客様にもっとニットを好きになっていただきたいという願いを込めて、

ニットの歴史や種類、お手入れ方法をご紹介します。

ニットの歴史
シリア、エジプトで編み物が誕生。

道具を使って一本の糸を連続させ、形のあるものにするのが編み物。編み物の始まりは、魚を捕るために生まれた漁網と言われていますが、考古学的な裏付けは発見されていません。

年代がわかるものでは3世紀、シリアの都市ドゥラで発見された3つのニットの断片です。4、5世紀になると、エジプトの墓から出た帽子、コプトの編み物と言われる靴下やバッグがあります。

ニット技術はその後、ペルシャ、アフガニスタン、チベットなどに伝わりました。ヨーロッパへは、アラブ人を介して広まったという説と、コプト人の宣教師が伝えたという説などがあります。

9世紀からヨーロッパへ

スペインへは9世紀初め、ムーア人によって伝わりました。16 世紀のものとされる絹糸地に金糸で精緻な編み込みの入ったローマ方法の手袋は、スペインからの輸入品でした。

14世紀に描かれたブクステフーデ修道院の祭壇画「天使たちの訪問」では、聖母マリアが棒針を使って編み物をしているシーンがあります。まっすぐな棒針はヨーロッパで発明され、ドイツの編み物は宗教的なつながりで広まりました。

スペインからフランスへ編む技術は伝わり、産業へと発展していきます。フランス王アンリ2世が1533年、カトリーヌ・ド・メディシスとの結婚式にはいていた絹の靴下が全ヨーロッパの王室に流行し、手編み全盛時代が訪れます。その後、オランダ、オーストリア、ドイツ、スイスへ編み物は広がっていきました。

イギリスでは貧しい人々の生計のために、政府が各地に編物学校をつくりました。 1558年に王位についたエリザベス1世は、手編みの絹の靴下を献上されて感激し、「もう毛織の靴下をはく気になれません」と言いました。この一言から毛織靴下産業は衰退し、手編み産業を隆盛させることになりました。しかし、1589年、足踏み式の靴下編み機の発明により、手編み産業は100年も経たずに衰えました。

今も伝わる手編み産業

産業革命の後、かろうじて手編み産業が残ったのは、スコットランド、アイルランド、ウェールズ、ヨークシャーなどです。人々は一日中どんな時でも編み続け、時には歩きながら編むことも。編み手のスキルは人間国宝級で眼にもとまらぬスピードで針が動き、地方独特のデザインが次第に形づくられて行きました。

今もガンジー島、シェットランド島、コーンウォール半島では、ネービーブルーの機能的な海の男のセーターが伝わります。このフィッシャーマンズセーターは、夫や父親、息子が万一海で命を落とすことになっても、着ている模様をみればわかるという愛情のこもったもの。セーターのどこかひと目をわざと間違って編むのは、着せた男への秘密のサインだそうです。

着る人のことを思って編み、擦り切れた袖口の糸を替え、ほころびを何度も繕い、あたたかな心と共に伝わったニットの歴史。ケアをすれば、ニットはいつまでも着る人をやさしく包みます。

ニットのお手入れ
ニットはお手入れ次第で、長く愛用できます。

長く着ていればさらに愛着が増すニット。正しいお手入れ方法で長持ちさせましょう。

◆着た後のニットは・・・

脱いだらすぐに体温や湿気を取るため、ハンガーや椅子の背でしばらく休ませます。その後、肩を両手で持って、3〜4回大きく振ってホコリを払います。

◆毛玉ができたら

毛玉の上にセロテープを貼り、テープを持ち上げて毛玉の根元を浮かせてハサミで切ります。絶対、むしり取ってはいけません。

◆季節が終わった保管

ホコリを払ってクリーニングした後、防虫剤と防湿剤を入れた箱に入れます。平らにし、胸部分にA4サイズくらいの薄紙を一枚置き、袖で抱きかかえるように大きくたたんでください。

◆防虫対策

特に虫が好むのは、ベージュのカシミアやラム・ウール100%の薄手ニットです。ビニール袋に収納し、防虫剤を入れてセロテープなどで密封します。

ニットの素材

代表的なニット素材は羊毛です。

羊の種類や刈り取る時期、産地によって大きく3つに分けられます。

◆メリメ・ウール

オーストラリア・メリノ種の羊の毛。羊毛の中で最も白く細く長くて太さが均一。縮れが規則正しいので、細くてやわらかな糸を紡ぎだせます。

◆ラム・ウール

生後6カ月で刈り取るメリメ種の仔羊の毛。やわらかでやさしい手触りの糸です。

◆英国羊毛

太くてしっかりとした素晴らしい羊毛。弾力性が抜群で、しかもソフトな毛。

ヤギ、ウサギ、ラクダからも素敵なニットができます。

◆モヘア

アンゴラ山羊の毛。トルコや南アフリカ、アメリカ、テキサスなどに住む山羊で、白くなめらかな光沢の美しく長い繊維が特徴。どの糸にましても豪華な雰囲気をつくりだします。成長するにつれて繊維が太くなる特徴もあります。

◆アンゴラ

アンゴラ兎の毛。アンゴラ山羊のモヘアのように白く、一般的な兔よりも毛が長く、絹のような光沢があります。フランスで初めて紡績された糸。毛は一年に12〜15cm伸びますが、それでも兔一羽からとれる年間量は、毛糸玉(50g)6〜8玉という貴重な糸です。

◆カシミヤ

インドのカシミール地方に生息している山羊の毛。他に、中国の内蒙古、チベット、トルコなどでも飼育されています。猛毛の中では最もやわらかく、絹のような光沢があり、保温性に優れているため高級な毛とされています。産毛量は極めて少なく、一頭から毛糸玉(50g)3〜4玉しか採れません。

◆アルパカ

ラクダ科のアルパカの毛。南米ペルーやボリビアなどで飼育され、海抜3,000〜5,000mの高地に生息しています。強度がありながら軽くて手触りがなめらか。成長するにつれて繊維が太くなります。

◆キャメル

フタコブラクダの毛。中近東からソ連、中央アジアに生息し、軽くて温かいニットや敷物に用いられます。毛は空気を蓄えて保温する中空構造で、弾力性があるのが特徴。ラクダ色(キャメル)という独特の色とツヤは、下着や毛布としても愛用されています。ドライクリーニングにも耐久性があり、いつまでも豊かな風合いを保ちます。